また美しい日本語と出会った、という歓喜

山川方夫さんの「月とコンパクト」という話が、短編でありながら長編の小説を読んだかのような読み応えと、美しい日本語の表現に引き込まれた。
特に惹かれた文章が、
暗い墨絵のような松林の向うに、青白く光って海があった。汽車は海岸と平行に走っていて、だが、青く照る現実のその海より、玲瓏とかがやく月をめぐって犇めく、青黒く濁った大空のはてしない暗闇の深さとひろがりのほうに、はるかに大海原の印象は濃いのだった。
という文章。
壮大な表現が美しすぎて、犇めくとか玲瓏とか、言葉の意味を調べながら読んだ。
玲瓏なんて初めて知ったよ。犇めく、も、うっすら聞いたことあるけどほぼ初めて知った感じ。
悲しいお話だけど、どんどん話に引き込まれる、不思議な魅力がある。
ちくま文庫から出てる「月の文学館」に載っています。よろしければぜひ。