ただし、ロングで。

外は風が冷たかったが日差しはポカポカしていた。
今日は電車に乗って出かけなければならず、こんな日は何を着たらいいのだろうとあれこれ引っ張り出しては途方に暮れた。
普段はジーンズばかりだ。しかし少し街へ出るとなると勝手が違う。膝の出たジーンズではさすがに恥ずかしい。本気の寒さならば、分厚く長いコートを羽織ってしまえば例え中身がパジャマだってバレやしない。こういう中途半端な寒さが一番騙しがきかず、困ってしまうのだ。
クローゼットをひっくり返すといつぞやに血迷って買ったスカートが出てきた。
毎度発表しているが、私の脚は悲しいほど太い。まるで棍棒のようであり、私のいくつもあるコンプレックスの筆頭である。しかしこのスカートはふくらはぎを半分ほど隠す丈であり、ちょっぴりタイトな大人顔のスカートだった。ウエストはゴムだが(悲)、そうは見えないデザインに(これなら履けるんじゃないか)とうっかり思ってしまったのだ。しかし当時はやはり勇気が出ずに、結局何年も寝かせたままになっていた。
これ、着てみようかな
ふとそう思った。だいたい、私の脚が太かろうと誰が気にするというのだ。どんだけ自意識過剰なのか。自分が好きなようにすればいいじゃない。最近色々あった私の脳みそは、ある意味何かが吹っ切れたようだ。私は黒いタイツを履いて、そのスカートを身にまとった。
服選びに時間を食って、遅刻寸前だ。慌てて家を飛び出した。そして数歩でその違和感に驚いた。あ、脚が開かない!
いつもの調子で歩こうとしてもタイトなスカートが邪魔をする。普段大股でがつがつ歩いている私は布にそれを阻止され、何度もつまづきそうになった。急ぎたいという爆発力を制御されるこのストレス!後悔したもののすでに電車の中だった私は一日中ペンギンのように小股で歩くことを余儀なくされ、帰る頃には膝をやられてしまった。
慣れないことはするもんじゃないなぁと思いつつ、しかし服とは不思議なもので着物を着れば背筋がシャンとするように、スカートを履いた私の所作はジーンズの時とは違ったように思う。股は開かずに椅子に座ったし、なんだか口調まで女性らしかったような気がする。人から「女らしくしなさい」と言われると腹が立つし、"今さら何を言ってんだい!"なんて思ってしまうが、スカート一つで私の中に眠る♀的な何かが勝手に目覚めるのだから。
ただ、履くならフレアだ。
タイトは膝をやられる。