かくれんぼ

「もういいかい」
「もういいよ」

草陰から声がしたような気がするぞ。

ここにあの子はいたはずだ。

空地の草場をかき分けて、
勢いよく進んでみたが、
誰もいない。

この大きな松の木に、
あの子が登っているはずだ。

窪みに手をかけ、
足をかけ、
高くまで来たが、
誰もいない。

手当たり次第に探しても、
辺りには一人もいなかった。

“自分”はどこにいるのかな。

全てを知っているはずなのに、
其の実何も知りはしない。

日が暮れて、
月も顔を見せたけど、
僕はあの子を探し続ける。